「……颯太……くん」

須藤さんは真っ直ぐに俺に向けて銃を構えたまま、驚いた様に目を丸くしている。

「無事だったんだね。……よかった……っ!」

そう言って須藤さんは笑うが、それからギュッと左肩を抑え、唇を噛み締めた。

須藤さんの左肩からは夥しい血が流れ、それはボタボタと不穏な音を立てて、コンクリートの地面に落ちて行く。

「だ、大丈夫ですか!?一体、どうして……」

傷だらけの彼にそう言って手を伸ばした……その時だった。

どこか遠くで……《何か》が動く音が聞こえた。

その瞬間、須藤さんは目を見開き、それから勢いよく、俺達を突き飛ばした。

急に突き飛ばされた俺と霧島さんはみっともなく地面を転がり、しかしその次の瞬間、断続的な銃声が辺りに響き渡った。

その音と共に須藤さんの身体が跳ね、彼の身体はまるで木の葉の様にヒラヒラと揺れながら、地面に崩れ落ちる。

不吉な《赤》を……撒きながら。

その赤はとても幻想的に見え、まるで囚われる様にそれから目を離す事が出来ない。