それから一時間ほど歩き続け、やっと目的のビルが姿を見せる。

空には美し過ぎて怖くなる様なまん丸の月と、ピカピカと場違いな程に眩しいネオンが光り、それに照らされながらビルへと向かって行った。

するとあのビルへと続く道路の先に、人の姿を見つける。

それは俺達に背を向ける様にビルの壁に寄り添ったまま、辺りの様子を窺っている様だった。

身を屈め、ビルの影へと身を隠し、その正体を探る。

しかし目を凝らした先に見えたその姿に、霧島さんと顔を見合わせ、思わず笑みを浮かべ合った。

「……須藤さんだ」

人影の正体は、須藤さんだった。

彼は銃と荷物を手にしたまま、俺達に背を向ける様に立っている。

そんな彼の姿に少しの違和感を覚えながらも、須藤さんの元へと二人で早足で向かって行く。

しかし彼の姿が次第に近付き、そしてハッキリと彼の姿が見えた瞬間……思わず歩く足が止まった。

何故なら彼はゼイゼイと呼吸を荒げ、そしてポタポタと身体中から真っ赤な《血》を流していたから。

傷だらけの彼を茫然と見つめたまま、霧島さんと二人、その場に立ち尽くす。

すると須藤さんは俺達の気配に気付いたのか、勢いよくこちらを振り返り、銃を構えた。