「どうかしたのか?」

「……ううん。なんでもない」

神妙な顔をしている様に見えた雪村にそう問い掛けるが、彼女はすぐにいつもの笑みを浮かべ、小さく首を横に振った。

それから何故か雪村は俺の真横に腰を下ろすと、そっと膝を抱えて俺を見つめる。

「ねぇ……千尋」

その小さな呼び声に応える様に、首を傾げて彼女を見つめる。

「貴方は彼のコトを……信じてる?」

その囁く様な問い掛けに、思わず微かに口を開いた。

「どういう意味だ?」

そう問い返すと雪村はクスリと笑って、それからそっと首を横に振る。

「やっぱり……いい。なんでもないわ」

そう呟いて雪村はギュッと膝を抱えると、静かに目を伏せた。