「あ、マーク置いて来ちゃった。濡れるとマズイと思って外したままだ」
「濡れるとやはりマズイのか?」
「さぁ、私は水に浸けたコトないから分かんないけど……試してみたら?私は遠慮しておくけど」
そう言って雪村はクスリと笑って立ち上がると、藤谷が居るはずの岩陰へと向かって行く。
「おい、覗きとは感心しないな」
「あら、男の裸なんて、こっちから願い下げよ」
俺の軽口に雪村はそう答えると、そのまま岩陰へと入って行った。
「わっ!?ビックリした~。なに、いきなり」
そんな驚いた様な藤谷の声が響き、小さく呆れた様な笑みを浮かべる。
「ごめ~ん。マーク忘れちゃって」
「あ、コレ?……ほれ」
「どうも~」
そんな二人のやり取りが聞こえ、そのすぐ後に、雪村が戻って来る姿が見えた。
しかしマークを手にしている彼女の顔が……何故か険しく見える。