「もしもアイツに会えたら……怪しい男と勝手に遊ぶなと、叱らなければな」
「ひっでェ!?俺、全然怪しくなんてないぞ!!」
そう言って非難の視線を送る藤谷にニヤリと不敵な笑みを返したその瞬間、岩陰から雪村が顔を覗かせた。
「次どうぞー」
「へ~い」
水浴びを終えたらしい雪村のその呼び掛けに、藤谷が気の抜けた返事を返す。
「じゃ、お先に」
そう言って藤谷は立ち上がると、そのまま岩の陰へと消えて行った。
それと入れ替わりで雪村が俺の前に腰を下ろし、濡れた長い髪を絞っている。
「冷たくなかったのか?タオルもないのに、風邪を引きそうだ」
「うん。結構生温い感じで、気持ちよかったわよ。ここは気温も高いし、放っておけば髪もすぐに乾くわ」
その雪村の答えに小さく頷くと、雪村は何か思い出したのか、ハッと目を見開いた。