「今まで内緒にしてたけど、実は俺の職業…………《殺し屋》なんだ」

「……はぁ?」

思いもよらなかった彼の答えに、思わず気の抜けた声を洩らす。

「ちょっと、そんな目で見ないでってば。ホントだよ。ホントの……ホント」

藤谷はそう呟くと、どこか遠くを見るように、そっと視線を落とした。

「信じられないかもしれないけど、本当の話。俺は子供の頃から、色んな国を回って、色んな人を殺していた。《人を殺す》……それが俺の存在する理由で、それだけが俺の生きている意味だった」

淡々と話す彼のその言葉に何も答えられないまま、真っ直ぐに彼を見つめる。

「まるでゲームや映画の様な、そんな世界も本当にあるんだよ。ただ表面に出て来ないだけでさ」

そう言って藤谷はワザとらしく肩を竦めて見せると、それから小さく息を吐いた。

「でも、俺はそんな生活に嫌気がさしていた。だからほぼ無理やり仕事を辞めて、俺は《あの街》に移り住んだ。千尋ちゃんの住んでいる……あのマンションにね」

その藤谷の言葉に、グッと息を呑む。