「放せ」

そう短く呟くと、腕を掴んだままの男に冷たい視線を向ける。

「いいからしゃがめ!!撃たれるぞ」

そう言って男は俺の頭を無理やり押さえ付けると、地面に素早くしゃがみ込んだ。

「……お前、新人だな」

「なぜそう思う?」

男の呟く様な問いに質問を返すと、男は呆れた様に深いため息を吐く。

「少しでもここに慣れた奴なら、絶対に不用意に歩いたりしない。殺してくれって言ってる様なもんだからな」

男はそう言って困った様に笑うと、それから窺う様に俺を見つめた。