何も……答えられなかった。 きっと何を言っても、彼の心には響かないのだろう。 何故なら困った様に笑って見せる彼の瞳は、強く、そして何者にも囚われない不思議な闇を纏っている様に見える。 《……誰も信用するな》 その言葉がまた頭の中に響き、それと共に強く膝を抱えた。