「僕がこの世界に来たのは三か月前。でもね……それと同時に、僕の弟もこの世界に放り込まれていたんだ」

そう言って須藤さんは静かに目を閉じ、深く息を吸った。

「別々の場所に放り出されて、やっとの事で再会出来たのは……すでに弟が死にかけている時だった」

「……そんな」

そう霧島さんは小さく声を洩らすと、悲しそうに瞳を揺らして須藤さんを見つめる。

「最後にアイツは言ったんだ。《ハートのQに気を付けろ》……って。僕の弟を殺したのは、《ハートのQ》……そのプレイヤーを僕は探している」

須藤さんはとても冷静にそう言うと、それから困った様に笑った。

「僕はそのプレイヤーを見つけるまで、この世界から出ないと決めた。だから必要のないカードは、君達に譲るよ」

その彼の言葉に皆は何か考える様に俯き、何も答えなかった。