「不器用じゃない!…はずです」






ムゥとふくれて言うと彼は子どもをあやすみたいにポンポンと頭に手を置いて言う。






「いいから、じっとしてろ」






手慣れた手つきで湿布を貼り包帯を巻いていく。






そしてその作業は数分で終わった。しかも、とても綺麗に。







ボクが湿布を貼るために費やした時間はいったい……






というか、これより上手くて手当ての早い保健委員って……






ボクがいろいろとショックを受けていると、彼はこう言った。






「一応、教師には言っとく。お前はその辺のベッドで休んどけ」






「でも……」






「その足じゃ歩けないだろうし、他のやつに迷惑がかかる」






うっ……。迷惑……か






「……うん、わかった。ありがとうございます」






ボクがそう言うと彼はボクの頭の上に手をおいてクシャクシャと少し乱暴になでる。






「安静にしとけば二、三日で治るから安心しろ」






フッと笑ってそういう彼にときめいてしまった。






「じゃあな」






そう言って彼は保健室を出ていこうとする。






あ!そういえば、大切なことを聞いてない!






「あ、あの、名前教えてもらえますか?」






「…俺は結城だ」






彼はそれだけ言うと保健室を出ていった。