「あの女は有名人なのか?
何だか知らないが席を譲ってやっただけだ。
それ以上の関係はない。」


変わらないトーンで応えると、奴らの目の色が変わった。


「お前、王室の人間も知らずに定刻大学校に入学する気か?
そんなんでよく合格したな。」


かなりひなんめいた口調に急変した姿を眺めながら応える。


「皇族の顔写真と名前をいっちさせる様な問題は見た事がなかったから勉強していないな。
それに合格したかはまだ見ていないから分からない。
で、あの女は皇族なんだな?」


話の流れから言って確実だが、確認しようとした俺の言葉は見事に無視される。


「見ていないって合格発表をか?」


「な何やってんだよ。
やたら落ち着きはらってるから当然合格者だと思ったけど、ただのアホか?」


「……おい、この番号……。」


「……え、まさか……!」


俺を見ながら何やら二人で相談しだした奴らが、俺の腕の受験番号をのぞき動きを止めた。


「何だ?どうかしたのか?」


問いかけから暫く間があって、やっと一人が口を開いた。


「お、お前、陸天野なのか?」


驚きを通り越した様な間抜け面がかろうじで尋ねて来た。