そのあと何も言わず輝は歩きだした。
輝に手を引かれながら歩き続けること10分。
目の前には新しくできたクレープ屋があった。

「ここって...」

「新しくできた店。 
1回来てみたかったけど男一人じゃ入りにくいからさ」

確かにこのお店はクレープ屋とアクセサリーショップが合わさった店だ。
雑誌にも取り上げられていて結構有名だ。

「さっ入ろ」

輝がまた私の手を引っ張りお店の中に入る。
店内は思ったより広く、輝の言ったとおりお客さんは中高生の女の子が多かった。

「美味しそう」

ディスプレイを見ながら何を食べようかわくわくする。

「ククッ」

後ろから笑い声が聞こえる。
でも今はそんなことよりもクレープを選ぶ方が先だ。

私が無視をしている事に気付いた輝は大きな溜め息をつき、クレープを選びはじめた。

「何にしようかなぁ…

あっこれ美味しそう」

私が選んだのは生地の上にジェラートがのっていてイチゴとバナナが沢山入っている王道のクレープだ。

「じゃぁ俺はこれ」

注文を終えて会計になる。
鞄からサイフを取り出そうとすると、輝に止められる。

「これくらい俺が払うって」

そう言って会計を済ませる。
「はいっ」とクレープを手渡された。

「ありがとう」

私達は窓側の席に座った。

クレープを一口食べてみた。

「美味しい…」

口のなかに甘さがひろがる。