「もうこんな時間だ。
とにかく行くぞ」

そう言って私の手を引いて歩き出す。

「どこに行くの?」

思わず私は聞いてしまった。
さっきまで必死にごまかしたのに。
これじゃ水のあわだよ。

「あれ...もしかして美春ちゃん聞いてなかったの?」

やばい!
最後らへん悪魔の声に変ってた。
サアッと血の気が引くのがわかった。
こうなったら潔く

「ごめんなさい。
聞いてませんでした」

...。
圭は何も言わない。
恐る恐る顔をあげてみる。
そこには天使のような笑顔をしてる圭がいた。

「しょうがないな...謝られたんなら許してやるか」

思ってもいなかった返事だった。

「えっ、ほん「なんて言うわけねーだろうが」」

やっぱりこの人は天使なんかじゃなくて悪魔だ。