「な…何これ」

いつの間にか涙は止まっていた。

「見てわかんない?

チョコだよ。チョコ」

そんなの見れば誰だって分かるよ。

私が言ってるのは、そんなんじゃなくて…。

「何時の間に…って思ったでしょ」

輝は自慢気に聞いてくる。

「うっ…だってそんなの「キスする前」」

「それはそうだよ」

キスした後じゃ遅いもん。

「キスする前に手に持ってて、キスする時に美春ちゃんの唇に押し付けたんだよ」

へえ…。

「ってもっと早く言ってよ」

これじゃあ泣いた私がバカじゃん。

「いやぁ、だって普通わかるでしょ。

あの時の美春ちゃんの顔…」

そんな事を言いつつ輝は笑う。