「痛っ…早く離してよ」

私が痛がってる事に気づいたのか、彼はようやく手を離した。

「あっ…あんたさっき「あんたじゃない。輝。桜木輝」」

彼…いや輝は真剣な目で私に言ってきた。

「輝…」

私の顔は多分いや、絶対赤いと思う。

輝は喜んだ顔をしながら

「何っ?」と聞いてきた。

不覚にも私はその時、ドキッとしてしまった。

「そっそうだ。なんで私にキスをしたのよ」

「キス…あぁさっきの事か」

そう言いいながら相槌をうった。

輝は冗談半分で言い放った。

「初めてじゃないんだからいいじゃん」

ズキッ。

初めてだったのに。

初めては好きな人と…。

兄ちゃんと…。

私の目からは涙が溢れていた。

「おい、下ばっか向いてるんじゃねーよ」

そう言って私の頬を触ってきた。

「えっ」

輝の顔は見てないが驚いているのがわかる。

「どうした?

具合でも悪いのか?」

優しく聞いてくる。