そりゃあ初対面の人が自分の名前知ってたなんて可笑しいでしょ。

ましてやあなたみたいにモテるわけでもないし。

私は『コクン』と頷いた。


「それはね…」


彼は続きが大声では言えないのか、手招きをする。

私は彼にそっと近づく。

彼は私の耳に口を近づけ…耳を甘噛みする。


「きゃぁっ…なっ何するのっ」


この人今私の耳に…。


「美春ちゃん油断しすぎ。

いくら誠実そうな人でも男は狼なんだから」


ってそれをお前が言うかぁ‼


「私あなたと付き合えません。

他の人をあたって下さい」


よしキッパリ断ったぞ。

これでもう私には関係ない。


「じゃぁ諦めるからハイ」


そう言って彼は手を出す。

なんだろ、飴でも欲しいのかなあ。

私は鞄からイチゴの飴を取り出し彼の手の上にのせる。