「ねえ八神!!」


放課後。

私は誰もいない教室に、八神だけを残した。



「なに?」


涼しい顔の八神が私の目をジッと見つめる。

……むかつく。

何がむかつくって、涼しい顔が似合うこのイケメン具合がね!



じゃなくて…本題は。



「あのさ……輝と奈緒がね…とうとう付き合っちゃうかもしれないんだよね」


ああ~…!!……泣きそう。


「私さ、昨日八神に言ったじゃん?渡したくないけど、壊したくないって」

「でも…っ、今日ね、奈緒が嬉しそうに“輝くんと付き合えるかもしれない”って言ってきたんだよ…うっ……」


泣きたくないっ

涙なんて見せたくないっ

だけど、口を開いたら出て来ちゃう…。