「はねだ~!!!!」

「尾崎………!!あっちか」

声の方向を辿り、やがて着いた教室。2年A組。

ーー俺達のクラス。鍵が閉まってるな。
関係ねえ。
「蹴り破る!!はぁっ!!」

バキッ!!
鍵に掛かったドアは見事に吹き飛び、一樹は中へと入った。

「羽田っ!!」
「尾崎……わりぃ遅くなった。さあて、覚悟は出来てんだろうな?デカいの……」
ーーアケミ……薬嗅がされたか……わりぃ

「男!?何で……ここは……」
「ガタガタうるせーよ!!俺のクラスメイトに手出した罪は重いぜ」

「くそっ!!俺は捕まる訳にはいかねぇんだ。やってやるよ」

太った男の攻撃は一樹が見切るにはわけもないが、避けもせず放たれた右ストレートが一樹を捉えた。気をよくした男の2撃目は一樹がよけてすかさず背後をとった。

「飛べ……」
背後から振り抜かれた右足は、男を捉え教室の前から後ろまでの机をなぎ倒して吹っ飛んだ。

「まだだ。今のは尾崎達の分……次は罪をなすりつけられた俺の分だ。さっきの比じゃねぇぜ」
「ひっ!」

壁に寄りかかって動けない男の体に今度は左足が振り抜かれる。
バキッバキッバキッ!!
骨が妙な音を立てたあと男は力なく倒れた。

「言ったろ?比じゃねぇって。俺は左利きなんだよ。さて、警察呼ぶか。不法侵入に窃盗、拉致、監禁……当分出てこれねぇんじゃねぇか?」