「仁とね、今後のことについて話しをしたんだ。」



「今後の事っ……てまさか、結婚!?」



「えっ……?」



「ついにプロポーズされた!?」



興奮気味に私の肩を揺らす晶子。



堪え切れずに、涙を零した。


「……えっ、千秋?」



私は全身の力を失い、目の前のテーブルに崩れ落ちた。


「ちょっ……どうした?」


震える両手で顔を覆う。



「ちがう…の?」



その言葉に、小さく頷いた。


ぽろぽろと流れ出る涙……。


もう泣かないってさっき決めたところなのに。



その間も晶子は何も聞かず、ただ横で私の背中を摩りながら落ち着くのを待ってくれた。



しばらくして、やっと冷静さを取り戻した私は、晶子が差し出してくれた温かい紅茶に手を伸ばし、一口飲んだ後、ゆっくり事情を話し出した。



「別れたんだ……仁と。」


「えっ…!?」


私は週刊誌の事、事務所で言われた事、メンバーとの事を一つ一つ晶子に話した。


「でも、お互い納得して決めた事なんだ。」



「……。」



「やっぱりね、仕事と恋愛の両立は難しいよ……。どうしたって誰かに迷惑をかけてしまう。」



「……。」



「でも、大丈夫だよ私。仁がいなくてもちゃんと自分らしく生きていくって決めたし!……それで、部屋も出て来たんだ。ケジメ!?みたいなっ」



「どこが大丈夫なのよ!」


えっ……



ずっと黙っていた晶子が突然低い声でそう言った。