「あのねぇ、知りもしないのに人の事そういう風に言うのやめた方がいいよ!」


「へっ!?」


キョトンとした顔で私を見る桜井君。


「仁は仁なりに色んなもん犠牲にしてここまで来たんだし、間違っても楽なんてしてないし、運がいいのだって立派な才能だよ!!」


興奮を抑え切れず熱弁する私はすっかり我を忘れていた。


「どっ、どしたんすか?」


「えっ、あっいや……、と思っただけ!アっアハ。」


本気になってどおすんの!


その間もドラマは流れ続けている。


画面の中でキラキラと眩しい笑顔を見せるさくらちゃん。


「ごっごめん!食べよ。」


冷や汗をかきながら箸を進める私を、桜井君は正面で呆然と見ていた。


別にムキになることなかったな……。さら~と聞き流せばよかった。


今更ながら後悔。


「やっぱ気持ちいいっすね!小原先輩は。」


黙っていた桜井君が笑顔で口を開いた。



「えっ?」



「同じ説教でも部長のとはわけが違うっつうか~、筋が通ってるし納得させられるのがすげぇなって!」


身を乗り出しそう話す。


「そっ……そ?それはよかった。」


ただ自分の恋人を侮辱されて腹が立っただけなんだけどね…。


「姐御肌っすよね~。」


あっ“あねごハダ”!?


そんな事言われた事ないよ!仁に聞かれたら笑われちゃうよ。


「やっなんか誤解してるみたいだから言うけどわたっ…」


『え~ちょっとちょっと!』


私が言いかけた時、店内がまた騒がしくなった。


隣のテーブルの子たちが驚いた顔でテレビ画面を見ている。



ん?何?仁出て来た?



そのままゆっくり画面に目を移す。



えっ……


それはあまりに突然、そして衝撃的に私の視界に入ってきた。