気を取り直して先輩らしく部署の説明に入る。



「あっここが開発部です。大まかに言うと新商品の開発とかに関する仕事をする所。」



「まんまだね。」



「……。」



私の懸命の説明に彼は鋭く切り込みを入れる。



冷や汗をかきながら彼をドアの外で待たせて資料を届けに中へ入った。



なんだろぅ……。



めちゃめちゃ気遣うなぁ。


「よぉ!千秋。」



肩を落とす私の後ろからコーヒー片手に弘人が話し掛けてきた。



「どした?顔色悪いぞ!」


「顔色も悪くなるよ。」



私のあまりに疲れ切った顔に首を傾げる弘人。



私はゆっくり今の状況を説明し出した。



「新人かぁ。」



弘人は一瞬チラッと入口に目をやる。



「あいつ?」



私はコクンッと小さくうなずく。



ドアの外でポケットから携帯を出して、何やらメールでもしている様子の桜井くん。



「なんか気疲れしちゃってさぁ。私、人にものを教えるのに向いてないかも。」


「ブハハハっ!それは言えてるわ!」



「ちょっと!!」



「ハハッ…冗談だよ、まぁ頑張れよ!」



バシッ!!


そう言って弘人が背中を叩いた。



「……いっ痛いしっ。」



「でもくれぐれもなめられんなよ!」



「はぁ~。」



もう手遅れだよ。



だけど弘人の一撃で少し気合いの入った私はちょっと強気でドアの外へ出た。