会社に着きエレベーターを待っていると「おはようございます」と背後から声がした。



考え事をしていた私はその声に一瞬ビクッとして後ろを振り返る。



するとそこには寝癖のついた頭で、まだ眠そうに目を擦る新人くんがいた。



「あっお、おはようございます」



慌てて返事を返す。



その時、エレベーターの扉が開き私は彼と一緒に誰もいないエレベーターに乗り込んだ。



長い沈黙が続く中、先に新人くんが口を開いた。



「なんか慣れないんっすよねーこの仕事。」



いっいきなり相談!?



「小原さん、どのぐらい働いてるんですか?」



「えっえっと~。」



斜め上に目をやり年数を数えてみる。



「5年ぐらいかな。」



「えぇ~マジすか!?小原さんていくつっすか!?」



彼はためらう事なく明らかに年上の私にあっさりと年齢を聞いた。



「24……です。」



私が言葉を濁しつつそう答えると彼は目を丸くした。


「えぇぇえ!?」



狭いエレベーターに響き渡る声。



「そんな“イってる”んですかぁ!?全然見えない!」



イッイッてる!?



何気に失礼だしっ!



「そりゃ、どうも。」



引きつり気味の笑顔でそう答えると、彼は続けて私に質問をぶつける。



「いつまで続けるんですか?仕事。」



「特に考えてないけど。」



「当分辞める予定とかないですよね!?」



なぜか私の顔を覗き込むようにそう聞いてくる。



「まっ……まぁ。」



私がそう答えた時エレベーターの扉が開き彼は満面の笑みで一言こう言った。


「じゃっ俺も辞めずに頑張ろっ。」



「……。」



放心状態の私を置いて新人くんは、先にエレベーターを降りオフィスへ向かった。


今のは何?どういう意味?


っにしても、なんであんなに馴れ馴れしいんだ!?