給湯室に入るなり大声を上げて泣き出す若菜ちゃん。


「一体何があったの?」


「せんぱぁい…私っ……私っ……。」


「落ち着いて!ゆっくり話して。」


「……グスッ私…グス」


「ケンチャンにフラれちゃいました。」


「え?若菜ちゃんも!?」


一瞬泣くのを止める。


「へ?“も”っ…て?」


「あっいや……、でっでもなんで?」


若菜ちゃんは涙を流しながらケンチャンとのいきさつを語り出した。


「この間会ったら、急に別れ話切り出されて。もう会えないって…グスッ、…理由聞いても仕事に集中したいからってそればっかりで……ケンチャン私にずっと一緒にいようって言ってくれてたんですよ!?それが急に別れようなんて、ひどいですよぉ……。」


私と同じだ。


ヨシヨシと若菜ちゃんの頭を撫でながら考えていた。


やっぱり何かちゃんと理由があるんだ……


もう一度仁と話しがしたい。


仕事を終えてすぐ、晶子に電話をかけて、その夜会う約束をした。


喫茶店へ一足先についた私は晶子が来るのを今か今かと待つ。


しばらくして晶子が入って来た。


「ごめんね、連絡遅れて。」


晶子の顔にいつもの元気がない事に私はすぐ気がついた。


「……昨日会ったんだってね?仁に。」


「……。」


何か言いにくそうな晶子。


「……あいつ、なんて?」


晶子はゆっくり頼んだコーヒーに手を伸した。


“ポチャッ…”


角砂糖をひとつカップに落とす。



「……千秋。」


「ん?」


そして、晶子は少しためらい気味にその重い口を開いた。