‐『陽太が森園大にこだわるのにはね、理由があるの。』

『理由ですか?』

『あいつには、中3のときから慕ってた、ある先輩がいたの。
その人は、森園大を目指して必死に勉強してた。
だけど、試験の前日、事故で亡くなった。
塾の帰り道、飲酒運転の車に轢かれて...。』

『えっ...。』

『あいつは、その人が叶えられなかった、森園大に入るって夢を。
自分が叶えようとしてるのよ。
その人のかわりに。』

『そうだったんですか...。』

『寂しい顔一つ、見せないで。
あいつは、1人で頑張ってるのよ。
だから、今は寂しいと思うけど、大目に見てやって?』‐