それからすぐに夏休みになった。

陽太先パイに会わずに済む。

そう思った。

でも、先パイの存在は想像以上に大きくて。

どこにいても、誰といても、何をしてても、先パイのことが浮かんでいた。

綺麗な景色。カッコイイ服。美味しいもの。

”先パイと来たいなぁ”

”先パイに似合いそうだなぁ”

”先パイにも食べてもらいたいなぁ”

そんなことばかり思っていた。

ましてや、夏休みという長い暇があれば、余計に。

あたしは、なるべく1人にならないように、毎日誰かと一緒にいた。

1人になると、必ず先パイのことも考えてしまうから。