「姫佳、おはよ。」

次の日、先パイは何気なく声をかけてきた。

「...おはようございます。」

あたしは、聞こえるか聞こえないかくらいの、小さな声で言った。

もう何も話したくない...。

先パイ...。

本当のことを話してほしかったです。

キスのこと。

あの人とのこと。

全部、ちゃんと話してほしかった。

”嘘はつかない”って言ったのに...。

どうしてですか...?

何もないなら、話してください...。

嘘、つかないでください...。

あたしは、逃げるように教室へと急いだ。

「おはよ。」

「晴くん、おはよう。」