「うん...。」

「じゃぁ、彼氏に見つかるとやばいから、俺は帰るよ。」

「ヒロくん、ありがとね。」

「いいよ。またね。」

ヒロくんは帰っていった。

ヒロくんは、いつもこういう時あたしを支えてくれてるな...。

それから少しして、先パイが来た。

「姫佳!」

「先パイ...。」

「さっきはびっくりしたよな。
ごめん。俺もびっくりした。
嘘つかないって約束したから、正直に話す。
あいつは...俺の元カノだ。」

分かってはいたけれど、改めて聞くとつらいな...。

「...昔は遊んでたって言ってましたよね?
奈乃チャンのことも、遊びだったんですか?」

「奈乃花のことは、遊びじゃなかった。本気だった。」

先パイの口から”奈乃花”という名前を聞いたとき、胸が痛んだ。

「それっていつですか?」

「中学のときだ。」

やっぱり...。

奈乃チャンの忘れられない人って、陽太先パイのことだったんだ...。