俺は何度も止めようとした。

何度もタカトを助けようとした。

でも、クラスの奴らに止められて出来なかった。

「助ければ、次はお前が狙われる。
余計なことはしない方がいい。
お前のためだ。」

だけど、俺は限界だった。

親友を見捨てて、自分だけが楽するなんて。

見てみぬフリをするということは、いじめているのと同じことだから。

「もういい加減やめろよ!
こんなことして何になるっつーんだよ!」

俺は谷川に言った。

「はぁ?お前、何言っちゃってんの?」

「谷川。お前のやってることは間違ってる。
誰かをいじめて何が楽しい?
クラスの奴らだってそうだ。
自分が狙われることばっか恐れて、見てみぬフリをする。
お前らだって、谷川と一緒だよ!
いじめてるのと同じだ。」

俺は、はっきりと言い切った。

「タカト、大丈夫か?行こう。」

俺はタカトを連れて、谷川たちから離れた。