「その人は人気者だったからさ。
他の女子とも仲良くて、いつもいろんな人に囲まれてた。
それが嫌になっちゃったの。だから、あたしから別れた。」
「そうなんだ...。」
「まぁ、今ではすごい後悔してるんだけどね。」
「その人、今はどうしてるの?」
「わかんない。高校もどこ受けたか、わかんないし。」
「連絡先は?」
「番号変わってて、もう連絡とれないんだ...。」
「そっか...。」
初めて聞いた奈乃チャンの過去。
でもこれが、この先あたしを傷つけることになるなんて、
この時はまだ知りもしなかった。
いや、知るはずがなかったんだ。