あるところに
一組の幸せな夫婦がおりました
初めての子供を授かったのです
旦那様の方は男兄弟ばかりで育ったため
奥様に女の子を強く希望しておりました
どれくらいかと申しますと
名前を女の子のものほど何個も考えていたぐらいです
美しく、淑やかに
でも植物のように強く育って欲しい
そんな願いを込められ、花の名前が最後に候補に残りました
ところが
生まれたのは男の子
その後もう一人子供を授かるのですが
もう一人も男の子でした
旦那様はもう男の子が成長して連れてきたお嫁さんを見るほうが嬉しいじゃないか!
と、自分に言い聞かせるように思い直されました
そして残ったのは
花の名前を付けられた男の子二人
流石に男の子に花の名前を直接付けるのははばかられて
長男には嵐(ラン)
次男には咲良(サクラ)と名づけられました
名前が良かったのか遺伝子が良かったのか
二人とも見目麗しい美男子に成長したのですが
淑やかにどころか、(口が)強かになり
兄弟喧嘩をする際などは、熾烈な口喧嘩が繰り広げられる
どこかひねくれた子に育っていきました
これは、そんな清水家の次男坊
咲良君に(不運にも)恋してしまった
榊天和(サカキ テンナ)と名の女の子の話だったりそうでなかったり…