そんなときがらがらという凄まじい音がして、意識がそっちの方へと向いた。

そこには白目をむいた変わり果てた姿の安藤がいた。
ストレッチャーに乗せられた蛻の殻の安藤の体は、ゆらりゆらりと揺れている。
安藤が大きすぎるのか、腕と足はストレッチャーから投げ出されてしまって、ぶらぶらと特定のリズムを刻んでいる。

その揺れ方が儚げで、生きている者には有り得なく。
後ろの嘆きが更に濃くなったような気がして、わたしは顔を覆った。

耐えろ、耐えろ、耐えろ。
これくらいで負けちゃ駄目だ。

だけどもう既にわたしの掌は涙でぐっしょり濡れていて。

「更沙……大丈夫だよ。きっと、きっと」

そっとわたしの肩に手を乗せる舞香の言葉が、余計に涙を酷くさせて。

自分に言い聞かせる。
甘くて弱いわたしに。

もう舞香の能天気な考えに洗脳されちゃ駄目だ。
あとで裏切られることは分かりきっているんだから。
期待なんて、希望なんて、もう既にないのに。