「やっぱり、納得できない!」

何をムキになっているのかと、自分でも呆れてしまった。
はいそうですねと頷いておけば一件落着となるのに、なぜ自分はことを盛り上げているのだろう。

「結果は同じなんだから、別に……いつ死んだって同じじゃない! それだったら、こんなところに一秒でも居たくないよ!」

ぴくり、と遠ざかっていた桧野の動きがとまる。
そしてゆっくりとこちらを振り向いた。
その顔は今までにないくらいに不気味な笑みを浮かべていた。
口元はにやりとひきつっているけれど、視線はひどく冷たい。いわゆる目が笑っていない、というやつだ。

「それは、……早く死んだ方が得、ということを言いたいのか?」

わたしは躊躇せずに頷いた。
ふうん、と間抜けに相打ちを桧野がする。