だけど本当に羨ましいんだ。
心からそう思っているんだもの。
桧野は希望があると言ったけれど、どこに希望があるというの。

待っているのは絶望のみ。わたしたちに訪れてくるのは死のみ。
死がわたしのもとにくるまで、わたしは何もできずに突っ立っているだなんて。

そんなこと、できない。

「……でも」

桧野を取り巻くその空気は語っていた。
これ以上逆らうな、と。

だけど声が出てしまったのだ。
意思とは関係なく。
だから仕方がないのだ。