「じゃあ、行く?」


「えっ…」


優しく手を握ってくれた聡ちゃんは、そっと…まるで大切なものを扱うかのように私に触れた。





怖いとかどうしようとか、そんな不安な気持ちを抱えつつも、後戻りができない状態に、やっぱり焦ったり。


だけど、手を繋ぎながら目の前を歩く聡ちゃんを見てると、不安や焦りなんて心の奥の方でとけていった。









ホテルの前に着いてドキドキしていると聡ちゃんが言った。



「やっぱ、やめるか。」


「はい?」



よし、やめよう。うん。

さっきから聡ちゃんはそんなことばっかり言うから、私のドキドキはすぐに消えた。