「もしあなたがそれを成し遂げたとして、彼の態度が変わらなかったら、
それは彼にユーモアが無いだけであって、女を見る目が無い駄目男だと気づくことができます。
そしたら一緒に彼をけなしましょう」

そこで、夫人は笑った。

「おかしなことをしゃべる子ね。頼んでもないのにぺらぺらと。
でもなかなか面白かったわ。一応お礼は言っておいてもよろしくてよ」

夫人は私の横をすり抜けて、トイレを出る。

「でもわたくし、あなたのことは気に入らないわ。あのお方と仲睦まじいようですもの」

カツカツカツと、やっぱりよく鳴るヒールの音。

トイレの外では、メイドさんが割れたガラスの破片を拾い、掃除をしていた───…。