「あ、すいません。上司としての威厳も尊敬する要素も皆無で上司だってこと忘れてましたあ」

「そういえばクリュっちは?」

「さっきトイレで会ったよ」

ちょくちょくクロの声が聞こえては、赤面する私。

デンスもアルデオ中将という人も話しているのに、クロの声だけがやけに響く。

「セル?」

ゴオオオンと耳元で音叉(オンサ)を打ち鳴らされたかのように私の中に響いたそのクロの声に、私は身震いした。

「タンドリーチキンうまいよ?」

「あぁ、そう」

またインド料理ね。

「どうした?なんか元気n…」

「オルビス様っ!?」

クロの私を心配してくれる声を、甲高い声が遮る。

「…アンジェリカさん」