「おー!やったやった!お前よく逃げきったなぁ」
男性がさっきの艶やかな大人っぽい雰囲気とはうってかわって子供のようにはしゃいで喜ぶ。
「いや全然逃げきれてないんですけど」
「あんな俊敏に動く巨体の殺気ムンムン元帥に追いかけられて生きていることがぁすごい」
元帥の前では絶対に言わないであろうワードを男性が口にする。
食堂の拍手喝采の渦が勢いを無くすころ、
クロが柱の下で未だにへこたれている私のもとに歩いて来る。
そして、手を差し延べる。
私に向かって───────
さっきから、なんて懐かしい光景が連続するんだろう。
ありし日のクロと、今現在のクロが綺麗に重なる。