是が非でもその紙がなんなのか探るだろう。
初めて焦りの色を見せたクロ。
また激闘が始まるのか、と思った途端。
クロが観念したように紙から手を引いた。
元帥は当然その紙を拾い上げ、見る。
どうやら写真のようだった。
「…幸せそうだな」
その元帥の一言だけでは、一体誰の写真なのか全く推理できなかったが、
元帥はさっきまでの刺々しい殺気を消し去り、奥ゆかしい顔を見せた。
写真を手にしたまま、元帥が食堂を出て行く。
食堂の人々全員、あの男性やクロまでもがきょとんとしていた。
「あれ?許してもらった?」
クロの疑問は、去って行った元帥以外、誰にも解けないものだった。