男性は"良し"と判断したのだろうか、横にずれて道をあけた。

元帥はそのまま進み、クロの胸ぐらをつかんだ。

ドン、と壁にクロの背中がぶつかった音が、やけに虚しく響き、一触即発の旋律を奏でる。

「何が光った?」

何の問いなのか、食堂にいた人々はわからず、
クロとその男性だけが理解しているようだった。

「わかりません」

クロはだいぶきつい目付きで答える。

"ちなみに今は元帥様とアルデオ中将と遠征中よ"

……あ。
今思い出した。

あのアンジェリカ夫人が言っていた。

アルデオ中将って、元帥とクロと遠征に行った人だ。

この3人が争っているということは、遠征中に何かあったんだ、きっと。