「セル…?」

「おいオルビス、分かるか?」

「デンス…」

「コバルト、気づいたのか…」

「クルシオ」

皆が呼び掛け、意識が戻ったことを証明するため、
それに返事を返すルナ・ファミリアの大佐官。

ううん、

「バル兄ちゃん…」

半分しか開いていなかった彼の目が、ゆっくりと全開する。

顔を私のほうへ向けて、ばっちり目が合ったとき。

「ステルラ…?」

私の中で何かが弾けた。

多分、最下層の記憶。

懐かしさ、嬉しさ、寂しさ、悲しさ、楽しさ、美しさ…。

全部が弾け、四方八方に飛び散り、私の足はベッドへの短い距離を駆け出した。

私が一方的に忘れていただけじゃなかったらどうしよう。