でもその日だけは違った。
ただのいつもの遊びだけではなかった。
「え…?」
「…空」
私のいちばん古い記憶は、3歳の頃のもの。
青、青、青……。
360度青にまみれたような、
空の、記憶だった…。
…………
………………
……………………
「バル、兄ちゃん…」
私を初めて空へ連れ出してくれた。
私を羽ばたかせて、あの綺麗な綺麗な空を見せてくれた。
今でも私の胸に、記憶に鮮やかに残っている。
あの日のバル兄ちゃんは、私が見た最後のお兄ちゃんだった。
あの日を境に、姿が見えなくなってしまった。
会いたい会いたいと毎日大泣きしていたくせに、いつの間にか忘れてしまうなんて。