クロは私の記憶の中のクロより背が高かった。

目の前に立たれると、見上げなければいけない。

「セルはテラで生活してきたから実感湧かないかもしれないけど、
大切にしたい人ほど突き放さなきゃいけないんだ、俺らは」

大切にしたい人…

そうだよね、狙われてるんだよね。

知ってるけど…足手纏いにはなりたくないけど…分かってるつもりだけど…。

「別れ際に、セルは俺に感謝した」

クロは首を前に傾け、私を見下ろす。

「あなたは私を救ってくれた恩人です、空に連れてきてくれてありがとう。ってね」

そのためか、瞳は陰になる。
それでも優しい目だ。

「でもそれは違う」

クロの瞳は…綺麗だ。