…やだよ。嫌に決まってるよ。

みんな平然とした顔に見えるけど、
怪我人もクロもいなくなっちゃうんだよ?
誰も止めないの?
仕方がないことなの?
皆はそれでいいの?

私は……嫌だよっ!!

「ま、待って…」

思い切って出したにもかかわらず、か細い私の声。

「クロも怪我人も…」

…何を言うか考えてなかった。

行かないでって言えたらいいけど、我が儘だし、
もうちょっとゆっくりしていったら?なんて迷惑だろうし。

…じゃあ何て言うのっ!!

私のか細い中途半端な発言は、前を歩く2人の耳に届いたようで、
無言で振り向いた。

悲しい顔をして。

まるでこれから私が何を言うかが分かっているかのように。