クロは観念したように笑い、あの頃のあどけなさを見せた。

クロの背中に回した手をぎゅっと締め付け、クロの胸に顔を埋める。

すると、クロがぎゅっとしかえしてくれる。

その瞬間にこみあげてくる安心感なんて……半端ない。


半端なく、幸せ。


「…あのー2人は何?どういう…?」

部屋にいた(これまたすっかりその存在を忘れていた)クルシオさんが遠慮がちに聞いた。

「パクスさん、邪魔しちゃダメだよ」

「そうか、すまん」

「何の邪魔だよ」

ひそひそ声で話す怪我人とクルシオさんに、クロが私から体を離し、苛ついたように突っ込む。

「あ、まだ続けてていいよ?」

「どうぞ、どうぞ」