「いいから落ち着け!」

彼が私の背中をさする。
もはや口調が必死になっている。

「だからっ…ゴホッ……おぢつけない!!」

「セルッ!!」

ピタッ。

私の咳が止まる。

私の息も、時までもが止まった気がした。

「…あ」

私の名前、呼んだ。

「ぶっ…!!」

部屋でずっと見ていた(すっかりその存在を忘れていた)怪我人が派手に吹き出す。

「お、お前…っ!嘘つくならつき通せよ!!」

クロ…本当にクロなんだ!

クロは片手で自分の顔を覆う。

「やった!!クロッ!」

再び飛びつくが、今度はクロが私をしっかり受け止めてくれたせいか、倒れこみはしなかった。

「ふ…ははっ…」