「幸は本当に手先器用だよね。
めっちゃ上手い。ありがと。」



「いーえー」



「初めてのバレンタインは
ガトーショコラと赤いチューリップ。
2年目はトリュフとカーネーション。
3年目は生チョコと勿忘草。」


「…よく覚えてるね」
と目を丸くする私に



「当たり前でしょ。」
と彼氏様。


「幸がくれたものは全部覚えてるよ。
赤いチューリップの花言葉は『告白』
カーネーションは『愛情』
勿忘草は『真実の愛』
今年は…なんだろうね。
毎年楽しみなんだ。」
とピンク色のバラに笑いかける。



なんだか照れ臭くて、
俯いたまま言葉を紡ぐ。

「哲平。これからもよろしくね」


「こちらこそ。愛してるよ、幸。」


これも私たちの決まり事。
ホワイトデーには台詞が逆になる。





哲平はにこやかに言った。
「『恋人』としてのバレンタインは最後だね。
来年も期待してるよ、奥さん。」


「!?」


「来年は家族の人数増えてるかもなー」


「?!!」



「さて、さっちゃん。甘い夜を過ごそうか。
明日二人共お休みで良かったねー。」






バラ全般の花言葉は『幸福』
ピンク色のバラは『満足』



ねぇ、てっちゃん。
私、今すごく幸せで、とっても満ち足りてるよ。
私を幸せにしてくれて、ありがとう。


来年には大輪のピンクのバラを送れるかな?

花言葉は


『赤ちゃんができました』



…End…



*あとがき*
アレ?バレンタイン関係ない感じ?
どうもすみません…。

哲平サン、子供ができたら、子供とさっちゃんの取り合いのケンカをするタイプな人だと思います…。