私は敵と戦っていた。


最後の敵。
そう、ラスボスと。




…まぁ早い話、ゲームしてるんだけどね。




人気のゲームの最終章だけあって、なかなか敵は手強い。



イライラしながら召喚魔法を繰り出した。




「いけーっ!燃やし尽くしてしまえー!!」





「コラコラ、幸(サチ)。怖いから。」




私の背後ではネクタイを緩め、スーツを脱いでいる彼氏 哲平。



「いやいや、てっちゃん。
コイツめちゃめちゃ強いの。本当に腹立つッッ!
あ、お帰り。お疲れ様。」


「うん。ただいま。
ちゃんとご飯食べた?」



「食べたよ…あ、また回復しやがった!
…てっちゃんは食べて来たんだよね?」



「付き合いで食べてきたよ。モツ鍋。
うまかったー。」


「モツ鍋!いいなー!
明日は鍋にするか!
あ、ちょっ…!ムキーッ!」



てっちゃんはクスクス笑いながら、
「お風呂借りるねー」とお風呂場に消えていった。