俯いた私の隣で、カップを持ち上げてゆっくりとコーヒーをすする五十嵐さん。

潤した口を再び開く。


「間違いなんかありませんよ。」


その優しい声に慰められるように、顔を上げる。
穏やかな瞳と、私の泣きそうな瞳が向かい合う。


「自らの選んだ道に真正面からぶつかる人はね、後悔をしないんですよ。
自分自身に誠実な人は、どんな道を選んでも幸せになります。」


私は、その言葉をゆっくりと反芻させた。