「以上で1480円になります。」
「はーい。」
やけにテンション高く返事をしたユウの声色は、今まで聞いてきた中で一番キモかった。
財布を取り出そうとする私の手を、ユウは何故かガシリと掴むと。
「何してんの。」
と。
本気でそう聞いてきたから私はぐっと眉根を寄せ睨む。いや、お前が何してんだ。
「手、離せ。」
「優は座っててよ。」
「は?」
「俺が払う!」
どうしてそうなるのか分からない私は、ユウの手を振り払い一万円札を店員に渡す。
おつりを受け取り、それをユウの掌に叩きつける。
「…カシスのおつり。」
「え?」
「好きなもんに遣えって、アンタが言ったから。今ここで遣った。」
「………。」
文句は受け付けない、と言わんばかりに黙り込むユウを睨んだ。
嗚呼、今日もフルスモークがかったようなサングラスか。瞳が、まったく見えない。