振り返って見れば、やはり屈んだままのユウ。だがその手はしっかりと私の手首を掴んでいた。
そして、引き止めたくせにまた沈黙をつくるユウ。
その沈黙のせいもあり、初めてまじまじとユウの手を見た。男のくせに細くて長い指、手首は華奢。でもやはり大きな掌が男性のものだ。
「…なによ。」
「…んー…」
「何なのよ鬱陶しい。離せ。」
振り解くように手を自分の胸へと勢い良く引き戻せば、簡単にユウの手は離れた。
「優が、」
「は?」
ぼそりとユウの呟く声が聞こえ、私は挑発的な声でその先を求めてしまう。
それに対しては何とも思わなかったらしく、ユウはグレーの帽子の鍔をくいっと下に引っ張った。
「優が、可愛いこと言うから。」
「…………、ッ、」
ありがとうなんて、言うんじゃなかったと後悔。
くそ、これじゃとんだ辱めだ。